衣裳工房 – STUDIO –

一言に『衣装』といっても、着物や帯だけではありません。
現在、松竹衣裳の工房においては衣装に付随する 【襦袢】【小裂】【着肉】【その他】も製作しています。
それぞれ独立した工房を持ち、専門の職人が所属しています。
そんな衣装製作の現場をカテゴリー別にご紹介しましょう。

着物や帯

着物や帯

着物や帯などを製作している部門を大別すると、織物や染めあがりの反物を裁ち切り、
裏廻りなど各パーツの生地を揃えて縫うところまでを行うチームと、
それを仕立てるチームの2つに分かれています。
基本的にはみな、和裁の専門学校を卒業して入社しますが、
衣装の仕立ては普通の和裁とは異なりますので、入社後は一から基礎を学びます。
簡単な直し物から始まり、帯・着物・袴・装束物と、年数が進み経験値が上がるに従って、
大きなものを仕立てるようになります。

製作中のようす ▲ 製作中のようす

歌舞伎で使用する衣装の中には、特殊な形のものが
数多く存在します。例えば『勧進帳』という演目で
弁慶などが身に付ける【大口】と呼ばれる袴は、表地だけでなく
中に入れる芯も厚く固く、一針一針に腕力が必要で、
恰好よく仕立てるためには、大変な重労働となります。

また、歌舞伎に限らず舞台衣装は、
出演される役者さんの寸法に合わせて仕立て直すので、
各々の役者さんに対応すべく針目を大きくしていることが
個人の着物の仕立てと大きく違う点です。

襦袢

襦袢

【襦袢】といえば、着物の下に着る下着という印象があると思いますが、
【襦袢】がなくては衣装が成り立ちません。
着物の衿の下から覗く襦袢の色によって、役者さんもしくは、その役柄の男っぷりを引き立てたり、
また女性の色気を増すよう表現したり、時にはさりげなく季節感を演出したりします。
工房では、仕立技術はもちろんのこと、「この衣装にはこの襦袢」という決まり事や、
特殊な形の襦袢も多く、その知識と在庫は膨大な量です。

小裂(こぎれ)

小裂

【小裂】も衣装の大切なカテゴリーのひとつです。
歌舞伎を良くご覧になる方でも、正確にご理解していらっしゃる方は少ないのではないでしょうか?
舞台にまつわる布製品一切を【小裂】と称し、昔は衣装・小道具・大道具とは別に独立して存在し、
歌舞伎を上演する劇場には座付で専任担当者が常駐し製作管理を行っていました。
現在は品物によって別々の業者が扱っております。
弊社が扱っているのは衣装の小物にあたる
「裾除け」「丸ぐけ」「たすき」「前掛」「石帯」「腰帯」「褌」
「ハチマキ」「上締」「頭巾」「しごき」「紐付」「手筒」「手拭」など、
衣装に関するすべての布製品を扱っています。

小裂2 ▲ 小裂

また【小裂】では、歌舞伎や日本舞踊の舞台で出語りをする長唄さん、 お囃子さん、清元さん、義太夫さんが使用する『肩衣』も扱っています。 この演目にはこの肩衣といった「決まりごと」を考慮した上で、 演じる役者さんに合わせて「紋」を付替えて準備をします。

その他にも、「黒衣(くろこ)」や
和洋折衷のデザイン衣装の小物なども
この工房では製作しています。

小裂 ▲ 肩衣

着肉

着肉

松竹衣裳の工房の中でも特殊な位置付けにあるのが【着肉】です。
以前は、代々【着肉】を生業としてやってこられた河内さんという方がいらっしゃったのですが、
残念ながら跡継ぎがなく廃業され、当社がその伝統と技術を引き継ぎました。

【着肉】というのは読んで字のごとく『着る肉』で衣装の下に着用するものの総称ですが、
その種類は多様です。刺青の柄が入った『刺青着肉』や、白粉を塗ったように見せる『おしろい着肉』、素足のように見せるために着る『肌色着肉』、お相撲さんなどの体型にするために着る綿の入った『綿入着肉』(通称:肉襦袢)、その他体型の補正に使われる、胸・腹・腰ぶとんなど様々です。

すべて演じる役者さんの体型や肌の色、またその役柄の性格に合わせて仕立てます。

その他

紋

その他には、衣装に縫い付ける『紋』『大紋』、
金糸の縫いの入った『縫紋』『台付』の製作など、小ロット物や一点物を扱う工房もあります。
またこの工房ではシルクスクリーンプリントによる半纏の『衿字』『背紋』、
テレビや映画などで使われる制服・作業着などのネーム入れやロゴ印刷など
多岐にわたる作業を一手に引き受けています。

デザインルーム

デザインルーム デザインルーム

衣装製作を行う、松竹衣裳株式会社内の洋裁部門です。

  • ドラマ映画(実写化、軍服、時代物など)
  • 舞台(2.5次元、和洋折衷もの、中世衣装など)
  • イベント(早替えなど)
  • テーマパーク(キャラクター、ダンサー)

と様々な分野に携わっております。

デザイン、採寸、パターン、縫製、フィッティングの一連を全てデザインルーム内のスタッフで手掛けています。
最近では3Dプリンターを使って、小物造形もやり始めました。

無いものを形にするお仕事です。
どこに頼んだらいいんだろう?こんな事やりたいんだけど…
先ずはご相談ください。

軍服衣装の製作過程を
動画でお届け

今回は、松竹衣裳の「芸能衣裳デザイン室」より、新橋演舞場に展示する軍服の衣装製作過程を動画でお届けします。
3Dプリンターによる小物の製作もぜひご覧ください!

2025新卒採用
選考エントリー受付中!

歌舞伎・演劇・日本舞踊・イベント・テレビ・映画など、幅広く芸能衣装をご提供している当社で、
 華やかな舞台を支える裏方のお仕事を一緒にやって下さる方を募集しています。
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マイナビ2025

お問い合わせ

松竹衣裳は、お客様と一緒に仕立てる衣装のイメージを作っていきたいと考えております。
もちろん、プロの視点・スキルをもって様々なご提案もさせていただきます。

衣装オーダー(仕立て)の流れ

  • お打合せ
  • 採寸・生地の選定
  • 仮縫い合わせ
  • 本縫い合わせ
  • 納品

まずはご相談ください。スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。

〒134-0086
東京都江戸川区臨海町3-6-4
ヒューリック葛西臨海ビル7F デザインルーム
Tel : 03-6663-9985
Mail : sc_design_room@shochiku-costume.co.jp

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