歌舞伎 – KABUKI –

歌舞伎衣裳とは?

日本が世界に誇る伝統芸能【歌舞伎】は江戸幕府の開府とほぼ時期を同じくして誕生しました。
始まりは京の四条河原で出雲阿国が大流行させた『かぶき踊り』だとする説が有名です。
以来、【歌舞伎】は400年を越える歳月の中で日本独特の美意識によって花開き、世界的にも高い評価を受けています。

“動く錦絵”とも呼ばれる【歌舞伎】の舞台を華やかに彩る視覚的な美しさにおいて、とりわけ私たちを魅了してやまないのが、個性豊かな歴代名優たちの演技と共にその創意工夫と携わった先人たちの遺産が脈々と受け継がれた、ひときわ輝きを放つ絢爛豪華な「衣裳」です。
素材は正絹を用いて、鮮やかな色彩で染め上げられ、金銀の刺繍でデフォルメされた着物や帯は職人の技の賜物です。
どうぞ劇場まで足をお運びください。LIVEの臨場感、ぴんと張りつめた緊張感とともに、総合芸術【歌舞伎】を「衣裳」という側面からご体感くだされば幸いです。

歌舞伎衣裳(衣装)『助六由縁江戸桜』揚巻 ▲『助六由縁江戸桜』揚巻
歌舞伎衣裳(衣装)『助六由縁江戸桜』助六 ▲ 『助六由縁江戸桜』助六
歌舞伎衣裳(衣装)『助六由縁江戸桜』髭の意休 ▲ 『助六由縁江戸桜』髭の意休

歌舞伎の新しいカテゴリー


歌舞伎は、大枠として時代物・世話物・松羽目物・舞踊に分かれます。これ以外に、スーパー歌舞伎や新作歌舞伎とよばれる新しいカテゴリーが生まれています。

【スーパー歌舞伎】

作品名:「ヤマトタケル」、スーパー歌舞伎II(セカンド)「ワンピース」など
1986年、三代目市川猿之助が始めた古典芸能と異なる演出が特徴で、デフォルメされたきらびやかな舞台衣裳が素晴らしい作品です。新橋演舞場で上演されることが多くあります。


【新作歌舞伎】

作品名:「あらしのよるに」「風の谷のナウシカ」ほか
最近は人気アニメーションを原作とした作品を歌舞伎にしたものが多く、その中でも『風の谷のナウシカ』は弊社の社員が、原画から舞台衣裳をデザイン化し、歌舞伎ならではの要素を多く取り入れるかたちで、初のジブリ作品を手掛けました。

衣裳方としての仕事の流れ

【歌舞伎】における、われわれ衣裳方の仕事というのは、『公演前の準備』『公演中の着付け及び手入れ』『公演後の保管』という3つの大きな流れがあります。

公演前の準備

公演の演目が決まると、担当する主役の役者さんたちとの打ち合わせをします。いわゆる「見せ衣裳」といわれるもので、古典に関しては過去の資料を調べ、それに準じた衣裳を用意します。

新作に関しては、役者さんの好みや役どころにふさわしい衣裳の提案をし、染め・織り・刺繍等業者に発注をし、弊社の製作部で仕立て、「舞台稽古」に間に合わせるために短期間で衣裳を準備します。

この準備が出来るようになるには、経験と知識が必要とされます。

公演中の着付け、及び手入れ

公演が開くと毎日『着付け』をします。役者さんと呼吸を合せ、素早く丁寧に帯を結ぶには熟練した技術が必要となります。その他、白粉(おしろい)や汗で汚れた部分を手入れし、次の日に備えます。

公演後の保管

公演が終わると、汚れのひどい着物はほどいて洗い張りをし、次回に備えます。

公演後の歌舞伎衣裳(衣装)の保管

着物自体が日常的に着ることがなくなってしまった現代では、昔と同じような染めや織りができる業者や職人が非常に少なくなり、素材や染料も変わってきています。われわれはそんな厳しい環境の中でも決して妥協せず、「本物」を残していく、「本物」がわかる人材を育てていくことが大事なことだと捉え、日々を積み重ねています。

ユネスコ無形文化遺産 特別展「体感!日本の伝統芸能」

日本の伝統芸能【歌舞伎】【文楽】【能楽】【雅楽】【組踊】の5つを一度に「体感」できる史上初の展覧会が2022年1月7日~3月13日の期間、明治末期の洋風建築として重要文化財に指定されている『東京国立博物館 表慶館』という空間で開催されておりました。
実際の展覧会は名残惜しくも閉幕していますが、WEB上の公式サイトは、引き続き実際の展覧会さながらに詳しく紹介されています。

今回はこの特別展のオリジナル映像コンテンツとして製作された「歌舞伎を支える人と技」という、歌舞伎の衣裳・襦袢・小裂・着肉の製作現場にスポットを当てた動画を皆様にご紹介申し上げます。

衣裳展示

総合芸術である【歌舞伎】、その美の結晶とも評される衣裳を飾ることにより、その場所にあたかも“錦絵”のような世界が再現される。そんな衣裳展示は博物館や催事場、ホテル等で全国各地、また海外においてもフランス・パリのイヴ・サンローラン財団をはじめ、アメリカやオーストラリア他で催されてきました。
イタリア・ローマでは、教会にて洋の建築の中に和の文化を置くという試みなど1点からでも展示をすることで、衣裳に込められた伝統の技術を間近で観ていただく機会として、国内外問わず活動しています。

舞台上で役者が身に付ける衣裳を、客席からは中々見ることができない細部まで、ご覧いただけます。また、展示に付随して、ワークショップで実際に歌舞伎の衣裳を羽織る体験や、セミナーやギャラリートークなどを開催し、歌舞伎衣裳の解説なども行っております。

国内での過去の衣裳展情報(一部)

三越と松竹衣裳 所蔵【歌舞伎衣裳展】/[同時開催]三越歴代ポスター展

三越と松竹衣裳 所蔵 歌舞伎衣裳展


三越創業350周年を記念し、三越と松竹衣裳による歌舞伎衣裳の同時展示。
昭和4年に七代目 松本幸四郎が着用した衣裳など、昭和初期にかけてつくられた三越の歌舞伎衣裳と、現在も舞台を彩る松竹衣裳の歌舞伎衣裳のほか、三越が所蔵する歴代ポスターや、大正から昭和にかけてPR誌の表紙を飾った杉浦非水の作品など、後世に繋いでいきたい貴重な史料も展示いたしました。

<展示会情報>
日本橋三越本店 本館7F催物会場
2023年7月5日(水)~7月17日(月・祝)
10:00~19:00[最終日18:00 終了]
[入場無料]
三越と松竹衣裳 所蔵 歌舞伎衣裳展サイト


【十三代目市川團十郎丈の歌舞伎衣裳展】

十三代目市川團十郎丈の歌舞伎衣裳展 01
十三代目市川團十郎丈の歌舞伎衣裳展 02

成田市御案内人である十三代目市川團十郎丈の歌舞伎の衣裳を展示致しました。

<展示会情報>
開催期間:2022年5月28日(土) ~ 6月12日(日)午前10時から午後5時まで
会場:成田市文化センタースカイタウンギャラリーA/B



【連獅子がお出迎え】
そごう千葉店にて、歌舞伎「連獅子(親獅子)」の衣裳を展示いたしました。

<展示会情報>
展示場所:そごう千葉店1階(駅側正面入口)
開催期間:2020年12月26日~2021年1月11日

連獅子【親獅子の精】 ▲ 連獅子【親獅子の精】

【能装束と歌舞伎衣裳】
文化学園さん所蔵の彦根藩主・井伊家旧蔵の江戸時代・明治時代を中心とした「能装束」と、松竹衣裳所蔵の「歌舞伎衣裳」がコラボするという少し趣の違った企画で、松竹と松竹衣裳が全面協力のもと開催された衣裳展示でもありました。芸能衣装ならではの大胆で華やかな意匠に注目するとともに、能と歌舞伎の衣裳の特色や共通性にも迫った珍しい展示となりました。

<展示会情報>
開催期間:2019年10月7日~11月29日
公式サイト

衣裳展示風景・三番叟ほか ▲ 衣裳展示風景・三番叟ほか

【東海道歌舞伎衣裳展―駿河 遠江編】
東海道に沿った駿河・遠江は、豊かな街道の文化が根付き、歌舞伎の舞台として多く描かれてきました。「曽我物」から「寿曽我対面」、「熊谷陣屋」、宇津ノ谷峠を舞台にした「蔦紅葉宇都谷峠」・「獨道中五十三驛」等、現在の静岡県ゆかりの歌舞伎の作品や登場人物を、歌舞伎衣裳を中心に、浮世絵や郷土人形なども交えながら紹介する展示です。

<展示会情報>
主催:藤枝市郷土博物館・文学館
開催期間:2018年8月3日~9月23日

【新春を寿ぐ展】
正月に因んだ演目や、正月飾りを表現した衣裳を中心に、四季折々の自然や花鳥風月が表された文様など、衣裳の様式美・歌舞伎の世界をホテルのアートロビーにて再現しました。

<展示会情報>
主催:京王プラザホテル
開催期間:2018年12月27日~2019年1月28日

衣裳展示風景・外郎売ほか ▲ 衣裳展示風景・外郎売ほか

その他、成田国際空港出発ロビーの歌舞伎ブースにて定期的に入れ替えをしながらの通年展示や、企業ビルのイベント展示等、衣裳点数の規模大小にかかわらず、多様な展示をしております。


海外での過去の衣裳展情報(一部)

【パリ/日本文化会館 歌舞伎衣裳展】
日本の伝統芸能・歌舞伎の衣裳を担う会社として、海外の方にも実際に本物の歌舞伎衣裳を観て知って頂きたいという思いから、弊社の記念事業として、文化・ファッションの都であるパリで開催。歌舞伎衣裳の中でも代表的なものを厳選して30点ほどを展示。開期中、日本文化会館内にてデモンストレーションを行い、*裃(かみしも)や歌舞伎の代表的な女形の衣裳を解説を交えて、実際に来場者に着付けをしながら紹介しました。
*裃(かみしも)…和服における男子の正装の一種

<展示会情報>
展示開催名:Exposition COSTUMES de KABUKI
開催期間:2004年10月6日~16日
主な展示内容:
・『勧進帳』『暫』『助六由縁江戸桜』等、歌舞伎でお馴染みの演目から紹介。
・大口や法被,大袖の大紋等、歌舞伎ならではの形や色合わせの扮装を展示。
・また、モチーフに特化した着物や、役柄によっての衣裳の違いなどにも焦点をあてました。

【イヴ・サンローラン財団 歌舞伎衣裳展】
フランスの「ピエール・ベルジェ イヴ・サンローラン財団」(5 avenue Marceau, Paris)が、パリにて歌舞伎衣裳展を開催。かつてイヴ・サンローランが来日の際に、歌舞伎鑑賞をしていたエピソードがあり、松竹衣裳が所有する衣裳27点、一部小道具の他、フランスのギメ東洋美術館所蔵の版画や松竹株式会社提供の写真、ドキュメンタリー映像などを展示しました。当時、記録に残る来場者数となりました。

<展示会情報>
展示会名:KABUKI Costumes du théâtre japonais
開催期間:2012年3月7日〜7月15日
公式サイト(仏・英語)

セミナー・ワークショップ

歌舞伎特有の衣裳や色・モチーフ・素材など、その時のテーマに沿って解説をしたり、実際に衣裳着付けのデモンストレーションを行いながら、舞台裏での仕事の様子や衣裳についての説明なども行っております。

また、展示に付随してのギャラリートークやセミナーでは、展示衣裳の理解を深めて頂く機会として展示物の解説もしております。
より多くの方に、少しでも歌舞伎に親しみ興味を抱いていただく場として活動しております。

歌舞伎衣裳セミナー・ワークショップの様子1
歌舞伎衣裳セミナー・ワークショップの様子2

今月の各座公演日程

松竹衣裳が携わりました今月の歌舞伎公演の詳細につきましては、
「松竹株式会社」や「歌舞伎美人」公式サイトをご参照ください。

松竹株式会社 公式サイト
歌舞伎美人 公式サイト

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